ラブロマンス映画は・・・カフェでついつい注文してしまうケーキみたいです。
年末年始用にとりあえずラブロマンス一本くらい必要かなと、ついつい借りたのが「愛さえあれば」。
ほとんど期待せず観たのですが・・・予想を裏切り?
デンマークに住む美容師のイーダ(トリーネ・ディアホルム)は、乳がんの治療を終えたばかりですが、心の支えであった夫の浮気場面に遭遇してがっくりと気落ちしてしまいます。
そんな中、南イタリアのソレントで別荘ウエディングを行う娘アストリッドのために一人で移動中、相手の青年パトリックの父親であるフィリップ(ピアーズ・ブロスナン)と出会い道連れに。
フィリップは魅力的な紳士ですが・・・妻を亡くしてから心を固く閉ざし、ちょっと偏屈な生き方をしています。
一方イーダは、出て行った夫が愛人連れで結婚式に訪れたり、癌の再発の不安に密かに怯えたりと・・・踏んだり蹴ったり泣きっ面に蜂状態。それでも子供達の手前、精一杯明るく気丈に振舞う姿を見ていたフィリップは、イーダに惹かれていき、徐々に閉ざしていた心の扉を開くのでした。
この映画のデンマーク語の原題は「坊主のヘアドレッサー」という意味で、その通りイーダの頭髪は癌治療で抜けているためウイッグを使用。乳房も失っています。それだけでもつらいのに、その上次から次へと問題が起きるという状況は・・・同年代の熟年女性には誰でも起こりうると言えるかもしれません。
若い時とは違って身近なパートナーから優しくされるとは限らないし、何かと責任も背負っている。身体も思うようにはならない。もちろん男女共にではありますが。
そんな時、ちょっとしたユーモアと愛があれば・・・どれだけ幸せになることでしょう!!人生希望と救いが必要かと・・。
まあ・・・ピアーズ・ブロスナン相手となると、ラブロマンスというよりほとんどおとぎ話といえるかもしれませんね。
それでも、深く物語に入り込んでしまうのは・・・年を重ねると、外見よりも内面の美しさに魂を揺さぶられる時があるという事を知ってしまっているからこそ。
この熟年カップルがメインのお話ですが、微笑ましい若いカップルも実は訳ありで・・・最後にふたりが下した勇気ある決断も今風で響きましたよ。
舞台となる南イタリアのヴィラも忘れていた夢心を思い出させてくれて一見の価値あり。
この思いがけず甘酸っぱい上質なラブロマンスを作った監督は、デンマークのスザンネ・ビアです。彼女については、次回たっぷりと語ることができたらと思っています。
さて私事ですが・・・ケーキがあまり必要ではない年齢とはいえ、たまに糖分を欲するのも確かです。若い頃には絶対しなかった、紅茶に砂糖を入れてみたりとか・・・意外とケーキより気分に合っていたりします。
気分や好みで自由に「甘いもの」を楽しんでみるのもありだと、久しぶりに頬が緩んだ年始でした。
(2014・1・14)