ESSAY2で、トスカーナの休日に影響を受けてリフォ-ムした家に住んでいますと書いた直後に・・・急に家を手放すことになりました。そして、あらためて人生における住み家について考える良い機会となりました。
しかしどうしたものか・・。迷ったら基本に立ち戻れです。
まだ人生や家に対して漠然としか考えていなかった20代後半に出会ったのがグリーン・カードです。
それまで花や緑に対しても楽しむ程度にしか興味がなかったのですが・・この映画を見て、グリーンのある家に住むことと、自分で植物を育てるということに初めて興味を持ちました。
10代の頃に憧れたホーリー・ホビーのイラストのようなグリーンのある生活は、手の届かない外国の世界。しかし、マンション(アパート)の中であっても実現している。それも味のある家具に囲まれて・・・もしかしたら憧れの生活は実現可能かも。?。
では映画の内容にふれましょう。
園芸家のブロンディー(アンディ・マクドウエル)は、ニューヨークの温室付の高級アパートに住むための条件を満たす目的で、グリーンカード(永住許可証)を取得したいフランス人のジョージ(ジェラール・ドパルドュー)と偽装結婚をしてしまいます。
二度と会わないはずのふたりでしたが、移民局の調査の試験を受けるため二日間一緒に住むことに。
生き方も考え方も違うふたりがゆずり合ったり協力し合いますが、とうとうお互い本音が出てしまい大衝突。そして試験の朝を迎えてしまいましたが・・・。
この舞台である温室付のアパートが素晴らしく・・ピーター・ウイアー監督がオーストラリア出身であるためか、ニューヨークの新鮮な表情を見せてくれます。
また、監督がドパルドューのために書いた脚本というだけあり、巨漢で野性的な姿の中に繊細さや孤独を隠し持つ主人公は彼の魅了全開のはまり役だと思う。
ストーリーも今見てもハラハラドキドキします。
正反対なふたりが惹かれあい・・最後に「温室なんていらない」と嘆くブロンディー。なぜならジョージが彼女のためにグリーンカードをあきらめたから。
大事な生き方も愛に比べると価値のないもののようです。
さて・・・今現在時は経ち・・日本もニューヨークも大きく変わりました。私自身も変わりました。
今見ても目をみはるような温室付アパートの内装ですが、実は家具付でもあり、彼女はボストンバック一つで移り住んでいます。重厚な部屋に住んではいますが身軽な生き方が日本とは違いますね。
アンティークな家具と漠然と見ていたのは、今はやりの古い家具を現代に合わせて味わい深く使うというシャビーというスタイルに近く、今でも参考になりますよ。
結局は背伸びな生き方より、自分の心の声に従って生きることを選んだ若いカップル。すべてがすべて真似はできないかもしれませんが、この映画から受けた影響が、どれほど人生を豊かにしてくれたか・・。私にとってのスタンダードな一作です。
音楽も素晴らしい。
最も好きな映画音楽作家であり今は巨匠のハンス・ジマーの若き頃の作品です。彼らしい曲の原点を聞く感じに思えます。監督の音楽の使い方も独特で、ジマーの作品ではありませんが、冒頭のサブウエイでのドラム(バケツ)は一度聴いたら忘れられません。クラシカルで斬新・・この映画のイメージそのものの音楽です。
さて、サントラでも聴きながら、どういう生き方をするか考えながら選択いたしましょう。
どうやら私の人生は出会いと選択と変化のくり返しのようです。