ホリデイ

the Holiday

 

 前回は、ちょっとひねりのあるクリスマス映画?を、紹介しましたが・・・やはり直球も投げたくなりました。

 

 そのものズバリの「ホリデイ」です。

 

 傷心な女性の心を、癒してくれるホットホワイトココアのような映画です。

 

 ロンドンの出版社で働くアイリス(ケイト・ウインスレット)は、同僚のジャスパーと恋人未満友達以上の関係を三年間続けています。淡い期待を抱きながらクリスマスを迎えますが・・別の女性との突然の婚約発表に深く傷ついてしまいます。

 

 一方、ロサンゼルスの高級住宅地で宣伝会社を経営するアマンダ(キャメロン・ディアス)は、すべてを手に入れながらも余裕が全くなく・・・完璧な恋人と喧嘩別れをしてしまいます。

 

 落ち込みかけたアマンダですが・・・スーパーポジティブな彼女は、ストレス解消のヴァカンスを楽しもうと思いつき・・・ネットで調べた「ホーム・エクスチェンジ」のページで、ロンドン郊外にある可愛いコテージを見つけます。

 

 泣き暮すアイリスのもとに「あなたの家を二週間借りたい」と、一通のメールが届きます。ジャスパーから離れたかったアイリスは、相手がロサンゼルスの住民だと知り、家を交換する条件で即決します。

 

 早速飛行機でロンドンに翔んだアマンダでしたが・・・静かで素朴な田舎の生活に暇を持て余し・・・六時間後には帰り支度を始めます。そんな夜中に、アイリスの兄だという笑顔の素敵なグラハム(ジュード・ロウ)が突然訪ねてきます。

 

 一方、アマンダのロサンゼルスの豪邸に驚喜したアイリスは、ジャスパーの中途半端な電話やメールが気にはなりますが・・・脚本家の老紳士や、陽気な作曲家のマイルズ(ジャック・ブラック)とも知り合い、新しい生活にすっかり魅了されます。

 

 ふたりの女性の新しい出会いは、冬のヴァカンスの良き思い出になるのでしょうか・・・。

 

 

 この映画は、「恋愛適齢期」(2003)本作「ホリデイ」(2006)「恋するベーカリー」(2009)と、立て続けにヒットを飛ばしている脚本家兼監督であるナンシー・メイヤーズの作品です。

 

 この3作品でもわかるように、大人の現代女性の幸せと悩みを、女性の視点でずばりと描いてくれる貴重な(ありがたい)監督の一人だと思います。

 

 「ホリデイ」のケイト・ウインスレット演じるアイリスは、好きな男性の自分勝手な支配欲からなかなか抜け出すことができず・・・老紳士の「きみは、主人公であるのに脇役を演じている」という言葉で、自分の人生を自分主体で生きていないことに気づきます。

 

 これは、相手が恋人やパートナーに限らず・・・古今東西(現代でも!)女性が陥りやすい「脇役」という人生を演じ続けることへの監督のアドヴァイスとも思えます。

 

 

 メイヤーズ監督の3作品と前回の「恋愛小説家」には、ある共通点があり・・・音楽をハンス・ジマーが担当していることです。

 

 「ホリデイ」のサントラは本当に聴きやすく、また前向きな気持ちにさせてくれるお気に入りですが・・・映画の中で、ジャック・ブラック演じる音楽家が作曲するシーンや、レンタルDVD店で映画音楽への熱い愛を語る姿が私の映画音楽愛をより盛り上げてくれます。

 

 超イケメンのジュード・ロウよりジャック・ブラックが素敵に思えてしまいます。

 

 そんな感じで「ホリデイ」は、忘れかけていた何かを思い出させてくれるまさにヴァカンス休暇。 ちょっと気になるのは・・・その後の人生の展開。

 

 その好奇心に答えてくれるのが熟年期を描いた「恋愛適齢期」であり「恋するベーカリー」であり・・・「恋愛小説家」。

 

 どれも前向きに生きれば幸せが待っているけど、それは完璧ではないかも・・・つまり「as good as it gets」(essay19で解説)

 

 あるいは「it's Complicated」(恋するベーカリーの原題で複雑という意味)。

 もうひとつおまけで「something’s gotta give」(恋愛適齢期の原題で・・・何かを譲らなければいけない)・・!!。

 

 

 ホワイトココアはちょっと甘みを抑えて、苦味も楽しむのが私流のレシピ。お気に召していただけるといいのですが。

                     

                        (2013.12.13)

 

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