エキゾティックな街・・・カイロ。
夫を待つ美しい中年女性。
見ずとも展開が読めそうな映画なのに・・・ついつい習慣で借りてしまったラブ・ロマンスやいかに。
女性雑誌の編集者ジュリエット(パトリシア・クラークソン)は、イスラエルのガザ地区で働く夫マークと休暇を過ごすために、エジプトのカイロを訪れる。
しかし、彼女を空港に出迎えたのは、マークの元警備員で現在はカフェの経営者タレク(アレクサンダー・シディク)。
カイロの高級ホテルで、一人夫を待つも・・・仕事で連絡さえ取りにくい状況に、ジュリエットは次第に寂しさを募らせる。
そんな彼女を気にしたタレクは、ジュリエットにカイロ案内を申し出る。
一見女性問題にも関心があり、子育ても終え、自立している女性のように見えるジュリエットですが、ピラミッド見学は夫と一緒でないとダメとか、人生を一人で楽しむタイプではなく・・・実は古風な女性のようです。
一方タレクは、ジプト人らしい慣習や風習などを重んじて、西洋人とは違う価値観を持っているのですが、どうやらユーモアと柔らかい思考を隠し持っているみたいです。
そんな二人がシンクロしてしまい、お互いに今まで足りていなかったものを補うかのように惹かれていき、カイロの街で新しい時が刻まれていく・・・。
しかし終盤、想像以上に魅力的な夫マーク(ジュリエットの甘えたいぶりが納得)の突然の登場によって、唐突に二人の関係は終わりを迎えてしまうのです。
主演のパトリシア・クラークソンは、ウッデイ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」や「人生万歳!」で、鬱々も美しく斬新な現代中年女性の役を、まるで地のように演じて印象づけてくれました。
今回のメロドラマに現実味を持たせてくれたのは、この配役のおかげかも。
監督・脚本のルバ・ナッダ、今一番注目のカナダ映画を引っ張る期待の女性監督です。今後も本当に楽しみ!
突然終わったラストが現実的すぎて・・・受け入れたくないわ~と、すぐポストに返却してしまったのですが・・・落ち着いて考えてみると、違った続きが見えてきます。
ピラミッドの謎のように、夫婦二人のその後はわからないわよね。
だって、ジュリエットは夫から精神的に自立しちゃったわけだから。
もう少し、繰り返し見て余韻を楽しむべきだったわ。だって、音楽も、カイロの街も白砂漠も本当に魅惑的だったし。
そして、結局ふたりの思い出は、お互いの存在を感じのが幸せだったという事が、いつまでも余韻として残るんですよね。
2010年の映画批評サイトで最も高い評価を受けたラブ・ストーリー映画だったのもうなずけます。
珈琲飲みながら、ぜひ。
(2014.9.24)