花子の女学校時代の親友蓮子は、柳原白蓮(1885~1967)という実在の歌人がモデルになっています。
大正三美人の一人ともいわれ・・・美貌と才能に恵まれながらも、時代と宿命に振り回され続けた籠の鳥のような半生でした。
誰にもわかってもらえず・・・。
百合(シベリア)、紫陽花(アマランスプ)、利休草、キャロット・フラワー
引き裂かれた心のため息・・・。
あなたにしか聞こえない。
傷つけ傷つき・・最後に掴み取った自分の人生。
激しく生き抜いた白蓮・・・今は、静かに想いを寄せる。
翻訳家の村岡花子さん(1893~1968)は、山梨県甲府市の農家に生まれます。
大人になった花子さんは、東京で児童文学翻訳家の第一人者となりますが・・・そこまでの道のりの途中には、運命の出会いや葛藤がいくつもあったようです。
トルコキキョウ(マンゴー)、紫陽花(マジカルコーラル)、レース・フラワー、銀葉葉月
一番の出会いは、ご主人だったのでしょう。
本当の恋の苦しみと喜びが、彼女を成長させます。
そして「赤毛のアン」との出会い・・・。
純粋な娘から、奥深い人間の心を思いやれる大人に成長した花子さん。多くの女性に夢と安らぎ、そして希望を与え続けてくれました。
色褪せた表紙、黄ばんだページの匂いが、ノスタルジーを誘う。何十年も前の新潮文庫を、引越しの度に箱詰めした「アン」と「エミリー」シリーズ。
あとがきに、 「東京大森にて 村岡花子」と、必ずあり・・・レトロな書斎に座るユーモア漂う上品な婦人を想像していたあの頃。今と違い検索するわけでもなく・・・想い出の中に静かに生きていた村岡花子さん。
今、あとがきを読み返すと、情熱的で熱心な人柄がよくわかります。また時代の変化に対しても、寛大でありながらも変わらない大事な事を伝えたいという思いも感じました。
「可愛いエミリー」のあとがきでは、「東京 大森、夫亡き淋しい家で」とあり、心情が伺えます。素敵な人生です。
NHKのドラマ劇中の音楽を担当しているのは、映画essay16「Fate/ZERO」でも紹介させていただいた梶浦由紀さん。素晴らしい音楽家です。essay6「まどか✩マギカ」の音楽も担当。
人物史に関しては、「村岡花子の世界」河出書房新社を主に参照にしました。ドラマは、実物像と少し違っています。